人事制度の基礎

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はじめに

人事制度とは、働く従業員のためのルールのことです。給与や福利厚生などの労働条件を、すべて社長の一存でその都度決めていたら、人によって扱いが違い不公平感が出てしまいます。あらかじめ、どのようなルールなのか明らかにしておくことで、従業員も納得して働くことができるでしょう。

等級制度

等級制度は、従業員の格付けを表す級のことです。1級、2級、3級・・・、A・B・C・・・など、会社によっていろんな表現があります。大きく分けて「職能資格制度」「職務等級制度」「役割等級制度」の3種類があります。

従業員に格付けする場合:「職能資格制度」と言います。

例)Aさん=1級、Bさん=4級、Cさん=2級・・・

職務内容に格付けする場合:「職務等級制度」と言います。

例)X業務担当=1級、Y業務担当=2級、Z業務担当=3級・・・

役割に格付けする場合:「役割等級制度」と言います。

例)部長=1級、課長=2級、係長=3級・・・

会社によって、どのような制度を採用するかは様々です。昔から続いている大企業や製造業などは、「職能資格制度」が多いです。

賃金制度

賃金制度というのは、賃金の決め方のルールのことです。等級や役職・職種などによって、どう給料が変わるのか。一定のルールを設けることによって制度になります。また、賃金の支払い方は月給制が一般的ですが、時給制・日給制、年俸制という場合もあります。

評価制度

評価制度は、従業員の一定期間の行動・成果や、ある時点での職務遂行能力を評価する制度です。これによって賞与の金額を決めたり、昇給や昇進を決めたりします。

賞与制度

賞与制度とは、賞与(いわゆるボーナス)についてのルールです。いつ払われるのか、誰に払われるのか、どのように算定されるのか。また、定期的に払われるのか、会社が儲かった場合にだけ出るものなのか等、あらかじめ決めておきます。

退職金制度

退職金制度は、従業員が会社を退職したときに支払われる退職金についてのルールです。退職金の意味合いは諸説ありますが、「功労褒賞」「老後資金」「給与の後払い」というのが主流となっています。退職金は会社の義務ではなく、ない会社もあります。

一言で退職金といっても、様々な種類があります。

  • 退職一時金制度
  • 確定拠出年金制度(401k)
  • 確定給付企業年金制度
  • 中小企業退職金共済制度

退職一時金制度は、その名のとおり、従業員が退職するときに、会社が一括で退職金を支払う制度です。会社としては、普段から原資を積み立てておかないと、いざ従業員が退職となったときにキャッシュが足りないことになってしまう恐れがあります。

確定拠出年金制度は、会社が毎月決まった金額を従業員口座に積み立て、従業員がそれを運用し、老後に受け取る制度です。若くして退職した場合はすぐに受け取れず、老後になってから支払われます。会社だけでなく従業員自体がお金を積み立てるケースなど、複数のパターンがある制度です。

確定給付企業年金制度は、会社が毎月決まった金額を退職金専用口座に積み立て、従業員が退職時に受け取る制度です。運用責任は会社にあり、積立金額が足りない状況になれば、会社が追加で積み立てしなければなりません。一定条件を満たせば、年金として分割受け取りが可能です。

中小企業退職金共済制度は、その名のとおり中小企業だけが加入できます。会社が毎月定額を外部に積み立て、退職時に従業員に支払われます。

福利厚生制度その他

福利厚生制度は、従業員が働きやすいようにする制度です。仕事と直接関係ないルールも幅広く含まれます。休暇制度や、資格や勉強の費用補助、寮社宅、社員食堂、見舞金、表彰など、会社によって様々なものがあります。